社外取締役座談会

エネクスグループならではの強みを、持続的な成長につなげていくために

私たちが直面する環境問題や脱炭素の要請を背景として、当社グループの成長戦略をさらに加速させるために新中期経営計画「SHIFT!2022」を策定しました。この新中計で掲げた定性計画を踏まえて、3名の独立社外取締役による座談会を開催しました。当社グループの強みや情報発信の在り方、企業価値の向上に向けた施策などについて、客観的な視点を交えながら語り合っていただきました。

社外から見たエネクスグループの優位性=強みとは?

佐伯:当社グループは2021年に設立60周年を迎えたわけですが、社内の雰囲気を外部視点で見ると、老舗企業にありがちな保守的な雰囲気はまるで感じられません。若手社員もどんどんアイデアを出していますし、組織全体に活力がありますね。そして事業の中核は、石油、LPガス、電力といったエネルギー商材を扱うエッセンシャルなビジネス、つまり地域のくらしと産業に必要不可欠な仕事ですから、社会的な存在意義がとても大きい会社です。こうした特性が当社グループの基盤にあり、かつ強みになっています。一方で、化石燃料を扱う事業については、あらゆる企業にカーボンゼロへの行動が求められる現代の情勢を踏まえて、サスティナブルなエネルギーへと転換していく力が問われています。

山根:取締役に就任した際、個別事業への理解を深めるために、産業用ガスの充填所や燃料センター、アスファルト基地など、現場を視察する機会を設けていただきました。現場の責任者や関係者の方々からお話を伺ううちに、60年間で培った地域の人々との深い結び付きが、当社グループの大切な財産になっていることを実感したのです。また、様々なエネルギー製品を単に供給しているのではなく、お客様へ“心のエネルギー”を届けるのだという使命のようなものが、従業員の中に身体感覚として、ごく自然に形成されているように思いました。さらに、当社グループと地域社会が、お互いを啓発し育て合う関係を構築しており、この点も大きな強みになっていますね。

遠藤:私は、当社グループに備わっている“3つの強み”に注目しています。1つ目は、顧客基盤と調達網を組み合わせたネットワークです。佐伯さんと山根さんも発言されていた通り、この強みは“地域社会とくらしに不可欠な存在”として活動できる原動力になっています。2つ目は、財務力。そして3つ目が経営の実行力で、これは6期連続での最高益更新という業績でも証明されています。あと、もう一つ付け加えておきたいのは人材力です。取引先から厚い信頼を獲得している人や、若いうちから責任ある業務に携わっている人が、当社グループには多いのですよ。

山根 基世
公益財団法人 文字・活字文化推進機構 評議員
学校法人 順心広尾学園 理事
NPO法人 絵本文化推進協会 理事

企業価値を高めていくための有効な施策は?

佐伯 一郎
四五六法律事務所 代表弁護士
全国信用協同組合連合会 監事
青山学院大学 名誉教授

佐伯:企業価値の向上は、すべての上場会社に与えられた使命とも言えます。ただし、今の外部要因や法的な制約などを踏まえると、実行可能な施策は限られます。有効だと思われるのは、さきほど遠藤さんが言及されていた「財務力」を活用した成長戦略です。無借金経営を続ける中で、近年はフリー・キャッシュ・フローを安定的に稼ぎ出しており、投資余力も大きくなっています。そこで環境技術への新規投資を積み増し、石油代替の低炭素・脱炭素商材を拡充していくことが、間違いなく企業価値向上につながっていくはずです。これは新中期経営計画「SHIFT!2022」の実行施策に掲げている「“環境・エネルギー”ビジネスの深化」と合致していますし、岡田社長もトップメッセージとして強く打ち出されています。並行して、戦略的なM&Aや海外市場への新たなアプローチも、計画・実行の段階に来ていると思います。

遠藤:さきほど、強みの一つとして申し上げた「顧客基盤と調達網を組み合わせたネットワーク」などを活かし、他社が容易に追随できない新たな商材・サービスを開発・提供することが、企業価値の向上に直結すると考えます。「SHIFT!2022」の中で、実行施策の一番目に掲げている「“基盤”の維持・拡大」が、まさにそうです。すでに海外を含むいろいろなマーケットにアンテナを張って、ビジネス展開の準備を進めていると理解しています。海外事業も、DXを活用したBtoCビジネスも、先行者メリットが享受できるタイミングを逃さない機動的な判断が重要になります。

山根:私から見た当社グループの魅力は、個々の事業部門やグループ企業が、“生きて活動している”点にあります。ここ数ヵ月のプレスリリースの内容を見るだけでも、今の社会課題に合致した各部門の取組みを、非常に良いタイミングで発信していることがうかがえますし。それと、当社はステークホルダーの皆様が想像されている以上に、多岐にわたる事業を展開しています。グループの姿が、いわばミラーボールみたいな多面体になっているんですね。そして、その一つひとつが、生きて活動しているわけです。日々のダイナミックな活動の積み重ねが、企業価値の持続的な向上に結びついていくと、私は確信しています。

エネクスの強みと企業価値を、社会に正しく伝えていくには?

遠藤 寛
公益財団法人警察協会 評議員
上村・大平・水野法律事務所 顧問
(株)ジェネレーションパス 社外取締役

山根:サステナビリティに関する指標や事業機会、活動内容などを、もっと積極的に情報発信していく必要があります。今や投資家はもちろん一般の消費者も、SDGsやESGへの取組みが不十分な企業に対しては、とてもシビアな評価を下しますから。じつは私自身、2019年に取締役に就任した当初は、当社グループは産業界で加速する脱炭素などのトレンドに対して「役員会議での議論が少ないのでは?」とか「従業員の意識が低いんじゃないかしら」って気がしていたんですよ。ところがその後の動きを注意して見ていると、サステナビリティの諸課題を明確な優先順位を付けて捉え、事業機会やリスクについての議論も活発に行われていると理解できたのです。2021年春に新設された「エネルギー・環境対策室」と「サステナビリティ推進室」、経営会議の諮問機関として発足した「サステナビリティ委員会」にも、大いに期待しています。

佐伯:私は、財務戦略の観点からお話ししましょう。当社グループは、ROE重視の経営を強く意識してきたエネルギー商社であり、資本コストを上回る収益の確保に一貫してこだわってきた経緯があります。ただし、いくつかある経営指標の中で、ROEのみを重視しているわけではないんですね。例えば、社内では経営目標の達成に向けて、常に新規分野への積極的な投資が計画されています。資本コストは一時的に下がるかもしれないけれども、ROE向上と財務レバレッジのバランスを取りながら、持続的な成長を志向する当社の戦略を評価していただけるようなIRがあってもいいと思います。

遠藤:現時点では、政府が策定する次期エネルギー基本計画の方向性がまだ明確ではなく、また、エネルギー産業が大きく変革する過渡期にあって、当社グループは、やや難しい舵取りを迫られていることも事実でしょう。こうした現状を踏まえつつも、グループの長期的なビジョンを早めに固めて、世の中に打ち出すことが重要です。「SHIFT!2022」で策定した定性計画・定量計画の達成にも、追い風となるはずです。

社外取締役として、どのように持続的な成長に関わっていくか?

佐伯:まずは、至極当然のことながら、業務執行取締役が正しく業務を執行するために、社外取締役の立場からサポートをしていきます。それと同時に、しがらみにとらわれることなく経営の監督を行い、取締役会の実効性向上にも貢献していく考えです。とりわけ、当社グループは上場子会社ですから、少数株主との間の利益相反が生じないような目配りをしていきます。この点を徹底するために、社内の様々な人との情報交換を図りながら、株主にきちんと報いていけるよう、自らの役割を果たしていきたいと思っています。

山根:当社グループは、社内の誰もが自分の頭で考え、自分の言葉で話せる自由な文化や、前例のないアイデアにもウェルカムな風土が、かなり根づいていると見ています。私は今後、エネクスがより社会に開かれた企業グループとして、女性にとっても働きやすく活躍の場が広がり、あるいは男性社員が意識改革をしていくきっかけになるような関わり方をしたいと思っています。さらに、固定概念にとらわれない議論や、新たな視点から課題を提起することによって成長の可能性を広げ、そのことによってステークホルダーからの、より良い評価の獲得を目指したいですね。

遠藤:佐伯さんの発言とも少し重なるのですが、ガバナンスをしっかり利かせながら中長期的な企業価値の増大を実現していくために、社外取締役の監督機能あるいは助言機能をしっかり発揮していきたいと思っています。現在の当社グループは、6期連続最高益という実績があるだけに、なかなか思い切った経営判断をしにくいのではないかなと想像しています。もし私が経営側のポジションにいるとすれば、すごく大変だろうなと想像してしまいます。しかし一方では、「新たなコア事業を創出するための投資を思い切って実行する」と宣言しているわけです。そこで、われわれ社外取締役としては、社内のボードメンバーとも連携し、投資に対する収益性やリスクの管理などを総合的にきちんとチェックしながら、将来の成長に不可欠な投資の促進に貢献していくつもりです。守りのガバナンス確保は当然として、攻めのガバナンスに対しても、しっかり目配りを行っていきます。