伊藤忠エネクス株式会社

ダイバーシティ スペシャルトーク

エネクスグループのダイバーシティは、「働きやすさ」から「働きがい」へ。

当社グループでは、社員の多様性・価値観を尊重しそれを強みとして活かしていくことが重要と考えており、様々な人材を登用し、活躍する場を提供しています。当社グループが今後もダイバーシティへの取り組みを進めていくために何が必要となってくるのか、当社社外取締役の山根基世氏、当社社外監査役の岩本昌子氏、当社人事総務部長の阿部靖枝氏の3名がスペシャルトークを行いました。

更なる企業成長のために、女性の活躍が必要

阿部:当社は、設立当初から「最も大切な財産は“人”である」と捉え、人こそが持続的成長と企業価値向上の原動力だと考えてきました。おふたりは、ダイバーシティという視点から当社にどのような印象をお持ちでしょうか。

山根:自由な社風があって、かしこまって肩肘張らなければならない企業とは違いますね。女性活躍という面でも、2013年に10%だった女性社員の比率が、2019年には20%と徐々に増加しています。

岩本:そうですね。取締役会でも発言しやすい雰囲気があり、皆さんが私の発言にも耳を傾けてくださいます。
また、女性社員も全国各地、様々な場所で活躍していて、先日の株主総会では阿部さんが人事総務部長として全てを取り仕切っていましたね。
性別や年齢などにこだわらず、優秀な人に重要な仕事を任せていく会社だと感じています。

山根:女性の活躍を世の中が求めるようになって久しいですが、会社の信用を図るうえで「女性が活躍できているか」という点は、重要視されている1つのポイントですね。

山根 基世
■NHKアナウンサーとして活躍
■2005年女性初のアナウンス室長就任
■女性活躍の場を広げる改革を断行
■(公財)文字・活字文化推進機構評議員
■2019年当社初の女性社外取締役就任

誰しも若いうちからチャレンジできる制度、風土づくりが重要

阿部 靖枝
■当社新卒入社社員(様々な事業を経験)
■配偶者の海外転勤に伴い退職
■帰国後、再雇用制度を利用し再入社
■2019年ダイバーシティ推進室長
■2021年(株)エネクスライフサービス副社長
■2022年人事総務部長就任
(当社初の女性部長)

阿部:私が仕事をしてこられたのは周りの協力があったからです。女性がライフイベントとともに仕事を続けるには、国と会社と家族、3つの協力が必要です。現在、国もいろいろな施策を講じていますし、当社グループも2013年からダイバーシティを意識した人事制度の改革、さまざまな取り組みを行ってきました。山根さんは、NHK時代にも女性活躍に関して踏み込んだ仕組みづくりをされましたね。

山根:私がアナウンス室長になった頃まで、男性アナウンサーは多いと定年までに10回も転勤を経験するのに、女性には殆ど転勤がありませんでした。一見女性が優遇されているようですが、実は、地域の暮らし、放送の仕組み、取材や番組制作など、地方局での学びの機会を奪われているともいえます。だから、本人とよく話し合って、結婚や出産、育児などのタイミングとすり合わせながら、女性も転勤する仕組みを作りました。
最初は嫌がっていても、転勤するとその土地を好きになって、驚くほど成長する人が多いです。

阿部:当社グループも、全国で活躍する女性社員はまだ少ないように感じます。これまで女性を積極的に採用してこなかったことや、上司による優しさからの配慮も背景ではないかと思います。

山根:見当外れの優しさですよね。でも、チャンスを与えるという意味でチャレンジさせてほしいと思います。当社グループが最近始めた「若手チャレンジ登用制度」は、いい取り組みですね。若手社員が責任ある役割(管理職)に挑戦し、早期から経験を積む機会を作るのはとても良いと思います。失敗したら出直せるのもポイントですね。

阿部:若いうちからチャレンジできる風土作りは、「若手チャレンジ登用制度」に限らず、ここ数年でかなり進んできました。先日営業でお客様のところに伺ったところ、顧客企業側は全員男性、当社側は全員女性だったということもありました。これは数年前では全く考えられないことで、更に加速させたいです。

岩本:阿部さんも、現在の人事総務部長に至るまで様々な経験をしていますね。

阿部:私自身も思い描いていたキャリアプランとは全く違う経験をしてきました。夫が海外駐在になったタイミングで一度退職もしています。
当時の私は、帯同することは全く考えず、最初は1人で1歳と3歳の子育てと仕事の両立を目指しました。しかし、子どもが熱を出したり体調を崩したりするとやはり大変で…。こんな制度があったらいいなと提案したのが「配偶者の転勤による退職者再雇用制度」でした。既に何人かの女性社員がこの制度を活用しています。ライフステージが変われば、優先すべきことも変わります。私自身、子どもが大きくなってきた今、もう1回エンジンをかけられそうだなと思っています。

岩本:確かに、子育てしながら働くには、制度がないと難しいですし、建前で綺麗なことをいっぱい並べても、それが実現されなければ全く意味がありません。性別問わず「育児休暇を取ります」と普通に声を上げられる社内風土と、きちんとした仕組みはセットでなければいけませんね。

働き方の追求とベテラン社員の更なる活躍の場をつくる

阿部:これまで当社グループは様々な人事制度の改革を進めてきましたが、コロナ禍で本格化した在宅勤務についてはまだ課題が残っています。

山根:新型コロナウイルス感染症をきっかけに在宅勤務が可能になり、リモートワークをメインにする会社も出始めましたが、全ての社員が本当に在宅を望むのか、それとも、リアルに人と触れ合うことによってしか生まれないものもあると思うのか。時代にあった新しい働き方は、これからも常に考え続けなければいけませんね。

岩本:私は弁護士であり、これまで個人事業主としてフレキシブルに働いてきました。比較的自由に仕事ができる半面、いざという時の代わりがおらず、子どもが幼い頃、重要な仕事が入っているにもかかわらず、子どもの体調が悪い時には地方の父母や実姉、夫の妹などに急きょケアを依頼するなど、日々が綱渡りでした。
当時、リモートワークができればすごく楽だったとも思いますが、かといって、リモートワークが普及した今、子どものケアをしつつ親が家で自由に仕事ができるかというとそうでもなく、正直なところ、子どもにゲームを与えたり、テレビや動画などを観させたりして、その間に仕事するしかない場合もあります。全てにおいてリモートワークがいいとは言えませんね。

山根:今の自分にとってどのような働き方が一番いいのか、どうすれば会社に貢献できるのか。その形をその都度考えながら、構築していかなくてはなりませんね。

岩本 昌子
■東京青山・青木法律事務所で活躍
(現ベーカー&マッケンジー法律事務所)
■2002年岩本法律事務所開設(代表弁護士)
■2020年よりアキレス(株)社外取締役
■2021年当社初の女性社外監査役就任
阿部:当社では、男性社員が育休制度を活用することも多くなり、長期間休む社員もいます。ただ、社員が3人しかいない部署などで同じことができるのかといえば、それは疑問です。ベテラン社員の方々にフォローしてもらうなど、会社全体で働き方を見直していく必要があると考えています。

岩本:若手社員などを登用することで、これまで活躍してきたシニア層の社員を置き去りにしていいのかという議論もあって当然ですよね。長く会社に貢献し、時代を作ってきたベテラン社員が、より長く活躍できる仕組みを作っていくこともとても大切です。

阿部:当社グループにおいて、定年後再雇用制度を利用している社員も現状一定数います。ベテラン社員が若手社員とタッグを組むことで、互いに新たな刺激となり、モチベーションアップにつながればとも思います。ベテラン社員が働きがいを持って、より長く活躍できる仕組みを積極的に考えていきたいです。

山根:再雇用社員に対する仕組みに限らずの話ですが、作った仕組み・制度をグループ会社の隅々まで行き届かせるための配慮、横の連携も課題ですね。当社グループを取り巻く環境が大きく変化している中、当社グループが持続的な成長をしていくためには、社内制度等含め、グループ全体で変わっていく必要があります。グループ会社ごとの課題もありますから、そのまま同じ制度を導入することだけが良いとは限りませんが、各社の課題を把握しつつ、解決するにはどのようにすべきかも検討していく必要があります。

グローバル人材の更なる育成も課題

岩本:山根さんに続いてすぐに私が監査役に選ばれたのも当社グループが変わろうとしている、いわば決意表明のようなものかもしれません。ただし、社内から女性の役員を登用するようにならなければ、真のダイバーシティは実現できないと思います。そして、グローバル人材の育成も課題ですね。

阿部:グローバル人材の育成については、現在、海外就労研修制度があります。2年ごとに6、7名の社員を世界各国へ派遣し、既存の事業領域に限らず、伊藤忠商事(株)の海外グループ会社における研修を通じ、グローバル人材の育成につなげています。近年では、海外への事業展開も積極的に進めており、現地スタッフに活躍の場を提供するとともに、現地法人で働く当社グループ社員もいます。また、国内では外国籍従業員の採用・人材活用も推進しており、例えば当社グループ会社においてフィリピン籍やインドネシア籍の人材が活躍しています。もちろん、新卒・中途採用募集の際には国籍・性別問わず、優秀な人材・当社グループで活躍してもらえそうな人材を探しています。

「働きやすさ」の一段上のステージにこれからは「働きがい」を高める

山根:先日当社グループで行われた「伊藤忠エネクスグループ表彰式」でも、老若男女の社員たちから強い「使命感」が伝わってきました。当社グループで働くことで、自分が社会やお客様のためにできることがあると「やりがい」を感じているとのスピーチもありました。

岩本:働き方は様々に変化していますが、社会人になると仕事が1日に占める割合は大きいわけです。せっかく働くのなら、会社や社会に貢献できることはもちろん、自分の持っている能力を最大限に生かして充実した生活を送りたいですよね。

阿部:会社として「働きやすい」環境は整えられて、今ようやくその一段上の「働きがい」を考えるステージに来られたのではないかと思います。
評価する仕組みや制度、就労環境全てが働きがいにつながります。人事担当として、働きがいを持って働ける会社づくりは永遠のテーマです。

山根:使命感ややりがいは、人から持ちなさいって言われて持てるものではないですね。仕事を通して人々の暮らしに接し、そこで自分が何をできるのか、会社の持つ本当の社会的な意義が胸に落ちて、「私もここで人々の暮らしに役立ちたい」、「より良い世の中にしていく力になりたい」と本気で思えた時に感じるものです。
そういう個人が集まった時に組織は強くなる。だから様々な経験ができる場を次々に提供していくことが、人を「育てる」ということだと思います。

人材を大切にする伊藤忠エネクスグループにご期待ください

阿部:最後に投資家をはじめとしたステークホルダーの皆様へ、メッセージをお願いします。

岩本:当社グループがこれからも持続的な成長をしていけるよう、社外監査役として取締役の業務執行に対する適切な監査に努めていきます。
社外監査役として当社グループを見るようになって感じることは、当社グループには性別や年齢・経験を問わずエネルギッシュに働いている社員がたくさんいるということです。持続的な成長をしていくために当社グループにとって重要となる“人材”が更に活躍できるよう、これまで自分自身が働く中で感じてきたことや経験をもとに、当社グループの新たな意識改革のきっかけとなるような提案・関わり方をしていければと思っています。

山根:エネルギー商社のリーディングカンパニーとして、当社グループは将来の予測を立て、これから先も時代や外部環境の変化に柔軟・迅速に対応していかなければなりません。当社グループがより良い方向に進んでいけるよう、社外取締役の助言機能を発揮していけたらと思っています。ステークホルダーの皆様には、自由活発に議論し合い、挑戦し自ら考え、実行する力のある当社グループの社員に期待し、今後とも末永く応援いただきますようお願いいたします。